イラスト
ショートショート
日が昇り切った昼。ヤシロは金棒を持って素振りをしている。
クレイグは、何やらその様子を紙に書いている。
「そろそろ1000回はいくのではないか?」
クレイグの声に気づいたのか、ヤシロは最後の一振りを終え、金棒を地面に置く。ドスンという重い音が響き、地面が少しめり込む。
「それにしても君は筋力がすさまじいな」
クレイグが褒めるも、ヤシロは無表情で首を横に振る。
「サメの鬼としてはまだまだだ」
「向上心も素晴らしいな。是非とも私に強さの秘訣を伝授願いたい」
「ひたすら鍛錬だ」
クレイグは先ほどまで自分が使っていた紙を拾い上げてメモを取る。それと同時に、ヤシロは表情を崩さず声を出す。
「それと、三食はしっかり食べろ。力のもとになる」
ヤシロは力強い声で言い放った。
クレイグは微笑みながらも、目をそらして角を指で触り始めた。
「それは、マゼンタにも言ってやってくれないか?」
クレイグの言葉にヤシロは無言でうなずくのみ。
「次は走り込みと行くか」
ヤシロは息を整えた後、庭を飛び出し、尾鰭を浮かせながら走り去っていった。
「水分補給はしっかりするのだぞ」
クレイグが言い終わるころ、ヤシロは既にその場からいなくなっていた。その声が聞こえたのかは定かではないが、クレイグは満足げに腕を組み、牛の尻尾を揺らすのだった。
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